(150)スポイル
2013/06/22
生徒が私に近づき、おもむろに何かを握っている手を開く。掌には、ガッチリはめられたブロック(ロボットのパーツ)が。はにかみ、あいそ笑い、不満(わかってよ)など、さまざまな表情。一番多いのが無表情。
どしたん?//// さらに、掌を上げて見てくれよ、とジェスチャー。
何?、と私。//// これ、とって(分離して)ください。
むー、はい、どうぞ。(黙って席へ戻ろうとする生徒に)どう言うのかな?//// あり…
聞こえんなぁ。//// ありがとうございました。
ロボット教室で、よくあるシーン。子供たちの性格が歪んでいるわけでもなく、愛情不足で子育てがなされたわけでもない。ただ訓練が不足しているだけ。さて、何の訓練、どんな訓練?
困ったそうな顔をするだけで、優しい大人が不都合を取り除いてくれる、不足を補ってくれる、少なくとも、気遣ってくれる。何か困っていそうでかわいそうだから…。でも、ちゃんと話すように仕向けないと、言語も社会性も伸びていきません。
自分の要求を正しく、明確に、あるいは、端的に、論理的に伝える訓練の機会を見過ごすことになる。困った顔がキーで自動的にすべてOKなら、子供にとって、ますます、言語を磨く意味が薄くなってしまう。
私は困ってそうな顔でくる子には、どしたん? と言わざるを得ません。時間がないから。でも、ご家庭では、自ら語るのを待っていてほしい。現状を打開するのは、まず、自分から一歩を踏み出すこと、と教えてあげてほしい。
こんなことの積み重ねが、言語や社会性だけでなく、自立した心の強さにもつながっていきます。あなたの優しさが子供をだめにしていませんか?
ツイート2013/06/22