(430)神奈川沖浪裏
2022/05/18
神奈川沖浪裏、と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、絵を見たら皆さん絶対知っているはず。葛飾北斎、富岳三十六景の代表するにとどまらず、浮世絵風景画のもっとも著名と言える作品。
19世紀中頃のパリ万博などを契機に、日本美術が注目され、ジャポニスム(仏)などとヨーロッパの芸術に大きな影響を及ぼしたことは教科書にも。でも、北斎は西洋美術から大きな影響を受けていたそうです。彼は、西洋の遠近法を徹底的に研究。定規とコンパスを用い、富士をとても小さく表現し、逆に波のスケールの大きさと富士との距離感を劇的に印象付けようとしました。また、当時の日本の染料系絵の具では青色が沈んでしまうので、コネを駆使し、西洋の顔料系プルシャンブルーを手に入れ、この画の青色に。
19世紀の芸術家たちの、美への探求心には驚いてしまいます。際立った才能でなくても、子供の良いところを見出し、さらに伸ばしていくことができるよう根気強く応援していく。北斎の卓越した技巧を支える探求心に触れ、子供への日々のサポートの大切さを改めて感じる次第。